どうやってすすめるの?謎の行動の理由を知ってトイレトレーニングを完了せよ!

虹と男の子

KIKO

みなさんお元気ですか?
児童発達支援管理責任者 KIKOです

子育ての中で避けては通れないトイレトレーニング。なかには特別な事情でおむつを外せない方もいるかと思いますが、ほとんどの人たちは いつかは始めなければと考えていることと思います。

おむつ外しの時期は昔と比べて少し遅めになってきているようです。
紙おむつが身近でなかった時代はお洗濯の大変さもありますし、子ども自身も気持ちの悪さがあって早く外れた方が親子ともども快適だったのでしょう。
私が新米先生だった頃(あれはたしか平成のはじめ頃のことでした…)4月に年少3歳児を受け持った時、20数名のクラスにおむつの子はひとりもいませんでした。
紙おむつはあった時代ですが、ピッタリサイズがみつかるほど種類は豊富でなかったと記憶していますし、おむつの性能も現在よりは低かったのだと思います。
当時はおむつが外れていないお子さんは入園できません、と提示している幼稚園もあったりして入園直前までがんばって外したわ~というお母さんの話もよく聞きました。

現在は、排せつの自立は個人差が大きいので無理強いせずそれぞれのお子さんに合った時期に進めるという考え方が主流ですよね。いつかは外れることもわかっているし。
それに、トイレトレーニング中よりも紙おむつ生活の方が洗濯物もストレスも少なく快適です。

でも、いくら紙おむつの性能が良くなっても紙おむつに用を足してそのまま過ごしているって完全な快適ではないんですよ。
気持ち悪くて自分から紙おむつ・紙パンツを取り換えようとするお子さんもいます。
また、おむつかぶれで痒がっているお子さんも見かけます。それから、小さな気持ちの悪さに慣れてしまって何も感じなくなってしまっているお子さんも少し心配になります。

トイレトレーニングが完了してお兄さんパンツお姉さんパンツになった子どもたちは、すっきり気持ちよさそうな顔をしてますよ!

今回はトイレトレーニングを始めた時に感じる数々の謎を解明しながらおむつ外しのコツをお伝えしていきます。

謎を解明してトイレトレーニングを完了しましょう!

トイレトレーニングのキホン

まずはここを押さえておきましょう。

キホンのおさらい

  1. 排せつの間隔が2時間あくようになった
  2. 「出た」「出る」がわかるようになった
  3. 本人がやる気になった

膀胱の成長やちょっとがまんできるようになるなどからだの準備が整っていて、「出た」「出る」などの感覚をつかめていたらトレーニングをスタートしていいでしょう。

2時間もたないということは、その回数分トイレに行かなければならないということですし回数が多いということは失敗の回数も多くなってしまう可能性が高いといえます。
おむつ替えを繰り返すうちに「あれ、なんだか間隔が伸びてきたかも」と感じるときが来ます。そうしたら時間をチェックしてみてください。なんとなくでいいです。おむつを外からさわってほんのり暖かかったら出たばかり。替えたばかりなのにまたすぐ出ているようならまだ間隔は開いていないと判断します。

「出た」「出る」の感覚をつかむのも子どもにとっては難しいものです。感覚がつかめるまではタイミングよく大人が「出たね」と声をかけてあげることも必要です。

③の本人のやる気はスタートの時点ではなくて、実際にパンツに移行するときに役立ちます。

トイレトレーニング前にできること

現在は放課後等デイサービス・児童発達支援でお仕事をさせていただいている私ですが、以前乳児保育園で働いていたことがあります。
乳児保育園とは0~2歳児が対象の赤ちゃん保育園です。
おむつ、おまる、パンツは業務上の重要アイテムです。
どこの保育園幼稚園でも同じだと思いますが、排せつにかかわる働きかけは園生活の日常に組み込まれています。
トレーニングの前段階として、私の働いていた保育園では股関節脱臼のチェックが終わっていれば1歳前からおまるに座らせていました。
おむつ替えのタイミングでおむつを開いて「あ、出てない」というときにはそのままおまるに座らせてみます。タイミングがよければ出ることもありますし、出ないこともあります。
どちらでもいいのです。
「なんだかわからないけど、コレに座ってみることがあるのか」とおまるに座った経験がのちに役立つことになります。また、出たときに「出たね」と声をかけることで「ふ~ん、これが『出た』ってことか」と感じてくれれば感覚をつかむ手助けになります。
この時点でおまるを嫌がって泣く子はほとんどいませんでしたが、嫌がった時にはすぐ座らせるのをやめていました。

こんな感じでもちろん偶然そうなっただけなのですが、時には半日おむつを1枚も汚さず過ごす赤ちゃんもいたりしました。

「キホンのおさらい」としてトイレトレーニングスタートの目安をお伝えしましたが、本格的にスタートする前から時々おまるに座ってみることをお勧めしておきます。

いったいなぜ?
トイレトレーニングにまつわる謎

さて、トイレトレーニングを始めると、子どもの謎の行動に悩まされることがあります。
もちろん、うまくいかないこと自体ストレスなのですが「どうして?ねえ、どうして?」と思うことがたくさんあってその理由がわからないことがじわじわとパパママを困らせ悩ませていくのです。

ひとつずつ謎を解明していきましょう。

トイレが嫌い

ママ

トイレに行くのを泣いて嫌がるんです
どうしたらいいの?

不思議ですよね。
どうしてそんなに嫌なのか。
対策として好きなキャラクターのシールやポスターを貼ってみて、とかお人形を飾ってみて、とか楽しく過ごせるようにトイレに行けたらシールを貼らせようとか言われています。

昔は、トイレって廊下のずっとむこうにあって遠くて寒くて暗いから子どもは怖がるんですよ~なんて言われていましたが、今のトイレは廊下のずっとむこうでもないし寒くて暗くもないですよね。それでも昔と同じようにトイレに行くのを嫌がる子がいます。

トイレ以外の場所におまるを設置してまずはおまるに慣れていくのもよい方法ですが、いつかはトイレに行かなければなりません。
トイレが嫌いな理由を考えてみましょう。

何するところ?いいイメージないよ

トイレトレーニングを始めるまで「ダメよ。こわいこわい」などと言ってトイレに近づくことを制限されていたお子さん、ママやパパについていこうとしているのに「ダメ」と追い出されて待たせられた場所、ジャーと激しく水が流れる音、狭い空間で戸を閉めて鍵までかける部屋。
馴染みがなかったトイレにある日突然連れてこられると「何?何?何するの?」とびっくりしてしまうお子さんもいます。
お子さんによってはトイレという場所が好きな子もいますが、家の中で一番嫌いな場所だというお子さんもいます。
できれば好きか嫌いかはトレーニングを始める前にチェックしておきましょう。
嫌いなようなら、お気に入りのものを置いてみたりお水を流すお手伝いをするなど少しずつ場所に慣れていくとよいと思います。

落ちて流されたらどうしよう

信じられないかもしれませんが、お水と一緒に自分も流されちゃうかもと思っているお子さんがいます。とにかくなにかつかまるものがなければ安心できません。
よく様子をみて訴えを聞いてみてください。もし流されることを心配しているようならつかまる持ち手がついた子ども用便座で安心できたり「大丈夫ママがしっかり抱っこしているからね」のことばで安心できる場合があります。

足がつかない!助けて!

大人用便座に腰掛けることで足がプラプラして怖くてたまらないお子さんもいます。高さの感覚も未熟なのでとても高い不安定なところにひとりで座らせられたと感じているのです。
そんなタイプのお子さんには「足を乗せる台」を置いてあげてください。
市販品もありますがちょうど足を乗せられるものなら家にあるもので代用してもよいです。
足が着地しているだけで安心できる場合があります。
ただし、大人の目が行き届かない場面でお子さんがひとりで上って落ちたりけがをしないように十分気をつけてくださいね。

とにかくトイレで用を足すことが怖い!

一度も経験のないことに挑戦するのは大人でも怖いものです。
どうして怖いのか理由はありません。そこで出す、というだけのことなのに、やったことがないので自分がどうなってしまうのかわからず怖くて不安でたまらないのです。もう出そうで切迫した状態なのにがまんしてがまんして泣いているお子さんもいます。「だいじょうぶ」と励まして何度か経験すると、安心して怖くなくなることがあります。軽くおなかをさすって出すお手伝いをしてあげるのもよいでしょう。

トイレでやることがたくさんありすぎるよ

何かたのしいことをしているときに突然それを中断しなければならない。
ズボンや下着を脱いだりはいたりしなければならない。
便座に腰かけること、手を洗うこと、戻ってくること、大人の私たちにとってはどうってことないことでも子どもにとってはものすごい大仕事です。
時間が経過する感覚もこれから行う作業がどれほどの労力なのかもよくわかっていない子どもにとって、その一連の流れははてしなく長く大変な作業に感じています。
とにかく面倒でできればやりたくないと考えるのも当然です。

「出ない」といったくせに直後にジャー

ママ

聞くと必ず「でない」って言うんです
全然教えてくれない

「出る」と教えることもなかなか難しいことです。
トイレトレーニングが完了したお子さんでも、教えてくれなかったりギリギリになってしまう子はたくさんいます。

いったいどうしてなのでしょう。

本当に直前まで気づかない

感覚がとぎすまされていないお子さんは、突然くしゃみがでるように「あ、出る」と思ったと同時にもう出てしまいます。
そんなお子さんは、少し前に気づいて教えるのは不可能です。
「出る?」と聞かずに「出るかもね」「きっと出るよ」とトイレに誘いましょう。

面倒でウソをついちゃう

「トイレが嫌い」の項目でお伝えしたように、トイレの一連の作業が面倒でやりたくないと考える子どもたちにとって「出る」と答えることは自分で自分を苦しめる行為です。
「出ない」と答えておけば回避できるのですからそう言うでしょうね。
もちろんその結果失敗してしまうことなんてその時は考えているはずもありません。
子どもの「出ない」は全く信用できません。

保育園ではできるのに家では全然ダメ

ママ

家では何度挑戦しても成功しません…
どうして保育園だけできるんでしょう

保育園でおむつ外しをしてもらった、というお子さんも多いのではないでしょうか。
「今日は3回成功しましたよ!」と保育士さんから報告を受けて「本当ですか!?家でもがんばってみます!」と張り切って挑戦したけれど、家では全然ダメ。

ねぇ、どうして?

タイミングを間違えている

どんなタイミングでお子さんをトイレに誘っていますか?
自分の手のあいたタイミング?
とにかく何回も?

トイレに誘うのはだいたい2時間ごとを基準にしていくことは、さきほど述べました。なので、まずは「今出た」という時間をチェックすることからです。その時間から2時間後に誘ってみてください。
時間を確認するのも慣れるとそれほど大変なことではありませんよ。

でも、例外もあって2時間にとらわれず出やすいタイミングがあります。

  • 寝て起きたとき
  • ごはんを食べた直後
  • 飲み物をたくさん飲んだとき
  • 外から帰ってきてほっとしたとき
  • 走り回って遊んだあと
  • ワーンと泣いてしまったとき
  • 集中して何かに取り組んだ直後
  • お風呂に入ってからだが温まったとき

などです。
ちょっとしたイベントの前後に誘ってみましょう。

幼稚園・保育園でも

  • お片付けの後
  • 活動の前後
  • 外遊びの前後
  • お弁当・給食前
  • お昼寝の前後

などに、排せつを促しています。

保育園ではまわりの刺激をうけている

小さな子どもでも、プライドがあります。保育園では続々とトイレで成功して得意げな先輩やお友だちの存在が刺激になっています。
自分も!という気になります。
また、「トイレの時間」はみんなトイレに向かいます。トイレに行かない子は遊んで待っていますよ、なんてことはありません。楽しく順番を待ったり小さな便座、低い手洗い場で「できたよ」の連続です。
ほめてくれる先生もひとりではないので、何人もの先生にほめられることもあります。
環境やまわりの人の刺激を受けてやる気が出やすい状況です。
家では、できない部分はお手伝いしながら「できたよ」という体験をさせてあげてください。トイレに行ってみた、というだけでほめてあげてOKです。

保育園とお家は別の世界と思っている

保育園で使っているタオルを家でも使おうとしたら「違う!」と大号泣。
保育園で使っている教材が気に入っていると聞き家でも用意したら大激怒。
保育園でうたっている歌や踊っているお遊戯は絶対に家ではしない。
そんなお子さんがいます。
保育園と家がつながった世界と感じているお子さんもいますが、違う世界と感じているお子さんは保育園でできているからといって家でも同じようにはできません。
そんな場合は、保育園での成功と足並みはそろわなくても気にせず焦らず家でのトレーニングを進めていきましょう。

できたりできなかったりするのはなぜ?

ママ

できたりできなかったりその理由がわからなくて…特に外出するときどうしたらいいか迷っちゃう

気持ちに左右されている

排せつって、大人でも気持ちに左右されると思いませんか?
緊張したらしたくなっちゃうとか、初めての場所で緊張すると逆に出なくなっちゃうとか。
子どもも同じで、緊張やプレッシャーや家族の雰囲気に左右されて出そうになったり出なくなったりするものです。

旅行や大きな行事の予定が決まっているときには、トレーニングの開始時期をずらした方がいいかもしれません。完了に近づいているときの外出は、一時的におむつを使用したとしてもあらかじめ行き先のトイレを確認しておくとよいと思います。

できたりできなかったりするからトレーニングをします

数日で一気にトレーニングが完了する子もいますが、途中でイヤイヤ期やなぜなぜ期に突入して思いがけずトレーニングが長引いてしまう子もいます。
対策をとってもすんなりと進まないこともあります。
いつまで続くの?と不安になることもあるかもしれませんが、できたりできなかったりを繰り返しながらだんだんできる方が多くなっていきますよ。
失敗してもそこから「出る感覚」や「トイレまでがまんすること」などを学んでいるのです。
お子さんに寄り添ってあげてくださいね。

おわりに

今回は、具体的なトイレトレーニングの方法ではなくトレーニング中に感じる謎とその理由を考えることでトレーニングの完了を目指す内容となっています。
なかなか理由を説明することができない子どもたち。謎の行動には意外な理由が隠れていることもあるのです。
謎を解明することで、是非トレーニングをすすめるコツをつかんでくださいね。

完了めざしてがんばりましょう!