スルー?ひっかかる?乳幼児健診の憂鬱。それでも行ってみよう!

5人家族

KIKO

児童発達支援管理責任者のKIKOです
幼児健診のお手伝いをしていたことがあります

乳幼児健診、行っていますか?

保育園の先生に心配なところはないって言われてるし
病気もせず元気だし行かなくてもいいのかな…って

ママ

チョロチョロしてるし発達も遅れている気がする…
発達障害って言われたらどうしよう
正直行きたくないです

ママ

どんなことされるの?
何を聞かれるの?
親も子も厳しくチェックされそう!

何をするのかよくわからないからなんだか行きたくない、という気持ち。

平日?しかも時間も決まっているの?
お姉ちゃんのお迎えの時間とかぶってるよ~
仕事休めない!

都合をつけるのが大変、というケース。

ひとりでこの子連れて荷物持って…どうしよ
人見知りひどいから絶対泣くに決まってる! やだなぁ

大仕事になりそうな予感で行く前からテンションが下がっている人。

様々な理由で乳幼児健診が近づくと憂鬱になってしまうかもしれません。
でも、行きましょう。
乳幼児健診には意味があるのです。

乳幼児健診は法律で定められています

乳幼児健診のうち、1歳6か月児健診と3歳児健診は、法律で定められている法定健診です。
市町村は健診を行わなくてはなりませんし、保護者は健診を受けさせなければなりません。
また、市町村はこのふたつの健診以外にも必要に応じて健診を行い、対象者に健診に参加することをお勧めしなくてはならないと定められています。

母子健康法
第十二条 市町村は、次に掲げる者に対し、厚生労働省令の定めるところにより、健康診査を行わなければならない。
一 満一歳六か月を超え満二歳に達しない幼児
二 満三歳を超え満四歳に達しない幼児

第十三条 前条の健康診査のほか、市町村は、必要に応じ、妊産婦又は乳児若しくは幼児に対して、健康診査を行い、又は健康診査を受けることを勧奨しなければならない。

厚生労働省法令等データベースより

乳幼児健診は、市町村が行いますので そのやり方も市町村ごとに違います。会場、スタッフ、内容は地域によって少しずつ違っていますし、そこでスルー(通過)となるか、ひっかかる(再度呼び出しや医療受診の勧めとなる)かなどの結果も少しずつ違っていると思います。

はっきりと定められている1歳6か月児健診と3歳児健診以外の健診は、地域によって行われていたり、行われていなかったり、自費負担があったりなかったりという差もあります。

しかし、1か月健診(生まれた病院で行うことが多い)の後、3~4か月健診、6~7か月健診、9~10か月健診などを行っている市町村が多いようです。指定の病院を個別に訪問して健診を受けるシステムになっている自治体もあるようです。

小学校に入学するまでに健診は8回前後あり、ついこの間行ってきたばかりなのにすぐにまた健診のお知らせが届いた、と感じるかもしれません。
たしかに少し負担感はありそうです。

健診の正式な名前は「健康診査」です。
ちょっとめんどうだなと感じるかもしれませんが、健診の一番の目的は、お母さんと子どもたちの健康を守るためということを知っておいてくださいね。

乳幼児健診で何をチェックしているのか

1歳6か月児健診では
歩いているか、意味のあることばを話しているか、指差しをしているか、呼ばれて振り向くかなど
3歳児健診では
会話ができているか、数が少しわかっているか、〇を描けるか、色や身体の部位が言えるか、片足立ちができるかなど
どちらの健診も、発達、発育の状態や病気がかくれていないかチェックしています。

他にも
身長体重の測定、栄養状態や歯のチェック、お母さんの様子も見ています。
視力や聴力の状態はどうか、股関節の脱臼がないか、予防接種は受けているか、発達障害の症状がみられないかなど、そしてもうひとつ。健診を受けることでお母さんとお子さんの安否確認もされたことになるのです。

健診の場で細かいところを見られ、あれこれ質問されるのは

病気や発達、発育の遅れを早い時期に見つけられると、早く対応できるからです。

健診で、なんらかの遅れを早期に発見できてすぐに対応できたおかげで早期に改善が進んだ ということがあったり、一生付き合っていかなくてはならない病気や、命にかかわるような病気がみつかり治療につながっていくこともあります。
発達障害が見つかれば、早期に療育を開始できます。
虐待がないかチェックするのは、子どもを救うためというのはもちろんですが、苦しいお母さんを見つけて救うためでもあります。

健診は地域の保健師さんが中心になって対応してくれます。
保健師さんは看護師の国家試験と保健師の国家試験に合格している人たち。看護と保健の専門家です。多くの場合、お子さんそれぞれに「担当保健師さん」がいます。担当保健師さんは、自分が担当するお子さんお母さんと直接会える機会を大切にしているはずです。

健診では保健師さんが自分の担当するお子さんとお母さんがどんな人かな、というチェックもしていると思います。

健診後のスタッフカンファレンス

私が参加したことのある乳幼児健診では、健診終了後その日のうちに参加したスタッフが集合して「カンファレンス」が行われていました。

カンファレンスの一例

これはあくまでも一例です。
すべての地域の乳幼児健診で行われているわけではありません。
それぞれの地域でそれぞれのやり方でカンファレンスが行われていると思われます。

私が経験したカンファレンスの参加者は、保健師、栄養士、歯科衛生士、保育士、言語担当指導員、療育センター職員など。
診察を担当した小児科医と歯科医は次の仕事のため参加できませんでしたが、その日の記録を残し保健師にわたしてありました。

保健師は整理番号1番から名前を読み上げ
身長、体重、保健師の問診の結果、チェック項目の結果、お子さんの様子、お母さんの様子、医師のチェックが入ったかどうかなどを報告。

続いて、栄養士が栄養状態や食生活に関するアンケートの結果、お母さんの栄養士との会話の様子を報告。

同じく歯科衛生士が歯の状態やフッ素塗布の状況を報告。

さらに保育士や療育センターの職員が、待合の様子や個別の相談があった場合はその内容やお子さんの気になる部分を報告。

それぞれのスタッフが、呼び出しや再診電話確認、他機関への引継ぎを決定する権利を持っていてそのカードを切った場合は担当保健師に報告、保護者に伝えてカルテに記入、カンファレンスの中でも報告していました。

この状態がいわゆる「ひっかかった」状態です。

具体的なカンファレンスの様子

具体的にはどのようなお話をしているのでしょう。

「〇〇△△ちゃん、〇〇年〇月〇日生まれ 〇か月〇日の早産低出生体重児です。本日◇歳◇か月で受診です。
身長◇◇センチ体重◇◇キロ、身長体重ともー2SD超えています。(平均値から標準偏差2倍離れてしまっている状態で約95%の子が入る範囲からはみ出てしまっていますよ、ということ)Dr.から低身長の精検票が出て来月受診となりました。
お父さん先月より〇〇市へ単身赴任となりお母さんの負担感大きくなり育児アンケートでもスコアが高くなっています。(負担感や気分の落ち込みがあると点数が高くなるアンケートを使用していました)問診中お母さんが涙ぐむ場面もみられました。
チェック項目は3つクリアで、〇〇と〇〇はできませんでしたがお母さんによると「家ではできる」とのことです。呼名反応がやや鈍く、語彙少なめです。発音不明瞭な部分あり言語〇〇先生に発音とことばのやりとりのチェックしてもらっています。3か月後言語で再診呼び出しです。」

「栄養からです。遊び食べあり小食続いています。白米は好きなようですがおかずはあまり食べないようです。味噌汁が好きとのことでしたので味噌汁の具に野菜を多めに入れてはどうかと提案しています。
卒乳済みですが哺乳瓶使用しているようです。子ども用イオン飲料一日に300mlほど飲んでいるようでお水かお茶に変えるよう勧めています。歯科に引き継いでいます。言語で3か月後再診呼び出しでしたら、その際哺乳瓶使用をやめたかどうか確認お願いします。」

「歯科です。イオン飲料を哺乳瓶で飲んでいるためだと思われますが虫歯が多めです。歯磨き指導後フッ素塗布のパンフレットを渡しています。」

「言語です。発音はカ行、サ行、ラ行が不明瞭です。呼気弱くハ行は母音に置き換わっています。3か月後再度チェック後必要があれば言語指導開始検討をお勧めします。」

「療育です。呼名反応弱いことが気になります。待合ではマイペースが様子で他児のおもちゃを黙ってとってしまい、返すよう促されると癇癪をおこしていました。3か月後の言語チェックの際、療育の相談もお勧めしています。」

…といった感じです。

スタッフ全体で確認していくことで、情報を共有しています。また、それぞれの専門の助言を受けられるよう引継ぎもうまくいくようにしています。さらに、なかなか心を開いてお話できないようなタイプのお父さんやお母さんがいたときには「歯科衛生士の〇〇さんと一番お話しやすいようでした。〇〇さんから再診呼び出しとチェックをしてもらうことにしましょう」など、臨機応変に対応していました。

乳幼児健診はひっかかってもいいんです

健診でひっかかる項目はとても多いです。

私が参加していた健診ではスルーとひっかかったお子さんでは、圧倒的にひっかっかったお子さんの方が多い状態でした。
すべてスルーはほとんどいませんでした。

私はひっかっかって当たり前だと思っています。

ですので
うちの子何が上手なのかな?何が苦手なのかな?
くらいの軽い気持ちでひっかかってほしいなと思います。
まずは、自分の子どもをよく知ることが大切だと思うからです。

苦手な部分や少し遅れている部分がわかれば、その部分を助けたり伸ばしたりすることを意識して子育てすることができますよ。

再診や電話でひっかかった部分がクリアできたことが確認できれば、カルテのチェック項目も消されて「クリア」と記入されます。

ただそれだけのことです。

なかなかクリアできない項目があるときは、チェックするだけではなくどうしたらよいのか保健師やその他のスタッフが一緒に考えてくれます。

乳幼児健診は
健康診断であり
身体測定であり
得意と苦手を知る場であり
お悩み相談会であり
これからの子育ての方向を確かめる場であると思います。ひっかかることを怖がらないでほしいと思います。

乳幼児健診の憂鬱をのりきるコツとは?

乳幼児健診の憂鬱を少しでも減らすため、ひっかかることを怖がらないでほしいとお伝えしました。
その他にできることはあるでしょうか。

時間を調節してみよう

例えば、今月長男の3歳児健診があり、来月長女の1歳6か月健診があり、その翌月次男の4か月健診がある!なんてときは、担当する自治体の課に連絡をして一緒の日にできないか聞いてみましょう。
もしかすると、対応できない市町村もあるかもしれませんが、対応できる市町村もあると思います。

また、今月は無理!来月だったらパパも一緒に行けるかも。
という場合も、1か月遅らせてもいいでしょうかと問い合わせてみてください。きっと対応してもらえます。

お子さんが障害を持って生まれて、他のお子さんとの差が気になる。同じ会場にいたくない。
そんなときも問い合わせてみてください。この場合も対応できない市町村もあるかもしれませんが、別室を用意してくれたり、時間をずらしてくれたり、場合によっては個別の健診をしてくれることもあります。

持ち物を確認しよう

母子手帳を忘れずに。おむつ、飲み物やタオル、お気に入りのおもちゃも持っていくとよいと思いますが、健診の会場にはたいていおもちゃや絵本が準備されています。また、保育士さんやボランティアさんがいることもあるでしょう。遊ぶものはそれほど多くなくてもよいと思います。自分の持ち物が会場のおもちゃと混じってしまわないよう気をつけましょう。また、人気のおもちゃを持参したら他の子たちが貸してほしがり取り合いになってしまった…なんてこともありえますのでご注意を。

無理せずお手伝いをお願いしよう

おトイレに行きたくなったりきょうだいを連れていているとき、ひとりで頑張ろうとせず会場の保育士さんやボランティアさんにお手伝いをお願いしましょう。少しの間お子さんを見ていてもらったり下のお子さんを抱っこしていてもらったり帰り支度をお手伝いしてもらったり、少しのことでとても助かりますよね。大丈夫です。心配せず助けてもらいましょう。

着替えやすい服装で

健診といえば身体測定と医師の診察は必ずあります。脱いで、着せてを繰り返すこともあるかもしれません。さっと脱がせてさっと着せられる服装で出かけてくださいね。

おわりに

乳幼児健診についてお伝えしました。
行きたくないなぁと思う方もいるかもしれませんが、プラスになることがたくさんあること、お子さんとお母さんの健康を守るためにたくさんのスタッフが動いてくれることを知っていただけたら嬉しいです。
健診でひっかっかってしまったとき、具体的にどう子育てに生かしていくかについてはまた別の機会にお伝えしたいと思います。
まずは、乳幼児健診に行きましょうね!