子育てで悩んだらどうする?いっしょに考えてくれる人はたくさんいます!

幼児健診の様子

KIKO

KIKOともうします
児童発達支援管理責任者として放課後等デイサービスで働いています

ひとりではなにもできない赤ちゃんを一人前の大人になるまで育てていくことって、とんでもなく大変なことです。
果てしなく長い時間、全力で向き合っていくのですから、くじけそうになってしまうこともあります。
選択しなければならないこともたくさんあって、迷うことばかりですよね。

自分の子どもでも、もちろん自分とは別の人間なので思い通りにいかなくて当たり前です。
そうなのですが、今まで生きてきてこれほどまでに分かり合えたことがあるだろうか、と感じるほどの一体感から、子どもを自分の一部のように感じてしまったり、愛があふれるあまり冷静ではいられなくなってしまったり、子どもの姿が自分の評価のように感じてしまったりと、

子育ては、労力はもちろんなのですが、自分が自分の感情に振り回されてしまうところも なかなか大変な部分だと思います。

そこで、今回子育てのコツとしておすすめしたいことは、
ずばり「相談」です。

相談がコツなんて、不思議に感じるかたもいらっしゃるかもしれませんが、子どものことを相談するのは、なかなか難しいものです。

子どもとの一体感を強く感じると、自分が誰よりもこの子のことをよくわかっているのだから他の誰かに相談してもわかってもらえないかも…と思ってしまったり、何かアドバイスをもらっても、そうじゃないんだよなぁと、その意見を否定したくなったりすることがあります。

普段はなにごとにも冷静に対処できるはずなのに、子どものこととなると冷静でいられなくなり、うまくいかない部分を隠したくなってしまったり、逆に心配しすぎてしまったりと、相談の場にたどりついてもありのままの姿をうちあけられないこともあります。

また、子どもの姿を自分の評価のように感じてしまい、お子さんの苦手を克服するための話をしているのに自分の落ち度を指摘されているように感じたり、自分が責められるのではないかと考え相談をためらう場合もあります。

みんなそうです!
おそらく、私たちは母性愛のちからにふりまわされているものと思われます。
バリアを張り、何かわからないけれど何かと戦って子どもを守ろうとしているのではないでしょうか。

そんな戦うお母さんたちに、今回は肩の力をぬいて相談するコツをお伝えします!

相談の意味とイメージ

相談とは

そう-だん〔サウ-〕【相談】の解説
[名](スル)問題の解決のために話し合ったり、他人の意見を聞いたりすること。また、その話し合い。「相談がまとまる」「相談に乗る」「友人に相談する」「身の上相談」

『デジタル大辞泉』小学館より

相談には大きく二つの意味合い、イメージがあると思います。

ひとつは、問題解決のために話し合うこと。
これは、ふたりで、という場合もあれば数人で、という場合もあるでしょう。
話し合う人たちは対等な立場で意見を言い合うイメージです。
自分もその「問題」をよく理解していて、積極的に話し合いに参加します。

たとえば…
お友だち数人と次の休日に
どこに遊びにいこうかと相談している など

もうひとつは、やはり問題解決のためなのですが、人の意見を聞いたり、アドバイスをもらうこと。
こちらは、自分より立場が上だったり経験豊富な人の話を聞いたりアドバイスをもらう、というイメージで

  1. 自分が「意見を聞いてほしい」また「相手の意見が聞きたい」と望んでいる場合
  2. 自分に決定権がなくて、仕事上また立場上話を進めるために相談しなくてはならない、という場面
  3. 自分は全く「相談」を望んでいないのにその場が設定されていて嫌々ながら…という場合

などが考えられます。

1.は家族や友だちが相手の場合もありそう
2.3.は仕事の一環、進路相談や教育相談など改まった場が多そうです

私個人としては、これらの「相談」はそれぞれ「話し合い」「聞いてもらう」「確認」「面談」など別の呼び方をしてもよい気がするのですが、もしも「相談」ということばに嫌なイメージをもっていらっしゃる方がいたとしたら、もしかしたら過去に望まない「相談」をしなくてはならなかった経験があるのかもしれないですね。

子育て中にしてもらいたい「相談」は
嫌々ではなく自分からぐいぐいいってほしい「相談」です。

別の呼び方をするとしたら
「子育ての情報交換やヒントを得るための色んな人とのおしゃべり」
です!

相談することの効果

相談することの効果はもちろん、問題の解決ですが、その他にも良い効果がたくさんあります。

解決までいかなくても解決へ向かう方法や方向を確かめたり、場合によっては何が問題かわからなかったことが、はっきりすることで気持ちや考えが整理されることもあります。

問題と思っていたことが、実は問題なかったと判明することだってあります。

問題が深刻だったり難しいとき、一緒に考えてくれるひとがいることはとても心強く感じます。
思い荷物はひとりで持たずに誰かに一緒に持ってもらうべきです。

相談はひとりではできません。
誰かが寄り添ってくれてはじめて相談ができます。
相談によって、自分がひとりじゃなかったと実感できることがあります。
ため込んでいた気持ちを吐き出すこと、
自分の声をきいてもらうこと、
共感してもらうこと、
相談することは、問題解決とは別の部分で自分を癒す効果もあるということを
ぜひ知ってほしいと思います。

どんどん相談してみて!

心配になったら、疑問を感じたら、わからないことがあったら、どうしたらいいのかわからなくなったら
迷わず相談しましょう!

誰に相談すればいいの?

それでは相談相手を考えていきましょう。

家族・友だちに相談しよう

家庭内で解決できそうな問題はまずは家族に相談しましょう。
心配かけたくない
子育ては私の仕事
と思わないで。子育ては長く長く続きます。我慢は禁物。
困っていること、手伝ってほしいことを具体的に伝えてください。
家族以外の親しい人に相談するもの良いと思います。きいてもらうだけでもいいのです。

保健師さんに相談してみよう

乳幼児健診でお世話になる保健師さん。
保健師は看護師の国家試験と保健師の国家試験に合格している人たちです。
看護と保健の専門家。
子どもの成長のこと、色々な病気のこと、問題が見つかったときの対処法や専門の施設などたくさんの知識と、どうしたらよいか、というノウハウを知っている人たちです。
市区町村では、住民票のあるお子さんの情報がきちんと管理されていて、もちろん秘密は守られています。
保健師さんたちは担当の地区が決まっていることが多く、なんと子どもだけではなくお母さんお父さんの支援もお仕事の一つです。
基本的には小学校入学前のお子さんについての相談に乗ってくれます。
何の心配もいりません。市区町村・保健センターなど保健師さんがいる「課」に電話をしてなんでも相談してください。
中には栄養士さんも一緒に常勤している地域もあるかもしれません。食事や栄養についての質問も受け付けてもらえます。
もちろん、乳幼児健診の場でも相談できます。少しでも気になることがあればお話ししてみましょう。

幼稚園・保育園に相談してみよう

お子さんが園に在籍しているなら、園の先生も相談に乗ってくれます。
先生たちは、園の子どもたちをわが子のように思い成長を促してくれています。
まずは、担任の先生に。話しやすい先生がいるなら担任でなくてもかまいません。
ベテランの主任の先生や園長、副園長先生も相談に乗ってくれます。思い切って「相談したいことがあるのでお時間をつくっていただけますか」と伝えてください。電話でもお手紙でも大丈夫です。
園の先生方の強みは同じ年齢の子をたくさんみている、という部分です。
直感的にひとりひとりのお子さんの得意不得意や発達の状態を感じとっています。
親がわからない客観的にみたわが子の姿を知る人たちです。

学校の先生に相談してみよう

お子さんが学童なら、学校の先生に相談してみましょう。
担任との懇談が苦手な方もいるかもしれませんが、先生としっかりお子さんについて情報を共有しておくことはとても良いことです。
学校には「特別支援教育コーディネーター」という係に任命されている先生がいます。
特別な支援を必要とする生徒のため相談に乗ったり関係機関との調整などを担当する先生で、特別支援学級に在籍していないお子さんについての相談にも乗ってくれます。
お子さんの発達や特性に心配があるとき、担任の先生を通じて相談をお願いしてみてください。
教頭先生も、お話を聞いてくれます。
教頭先生は学校の窓口。学校全体についての相談は校長先生ではなく教頭先生にしましょう。
学校への相談は入学前でもできます。
入学にあたって心配なことがあれば、入学する予定の学校に事前に連絡をしてお子さんの様子を相談することができます。事前に連絡をしておくことで入学後の支援や配慮が準備できる場合があります。

専門家チーム・相談支援チームという存在もあります

各市町村では専門家チーム・相談支援チームの設置をすすめています。
市町村の方々だけでなく地域の教育、医療、療育、福祉、保健などの関係者や専門の方々がチームに所属することを依頼されています。
お子さんの様子や発達上気になることを相談したり、直接見てもらうこともできます。
ただし、相談の方法は地域によって違いがあり、このチームの助言を直接聞かせていただいたり学校や園の先生が助言を受けたり、チームで検討していただいた結果を知らせてもらうなど、様々な相談の受け方があります。
地域によっては保護者が直接相談を申し込むことができない場合もあるかもしれません。
ですが、様々な領域の専門家が様々な角度からお子さんを見てくれるシステムがあるということはとても心強いことです。
まずはこれらのチームの存在を知ってください。
相談を希望する場合は、お住いの地域の市区町村や学校や園を通じて問い合わせてみてくださいね。

スクールカウンセラーに相談してみよう

文部科学省が平成7年度から取り組んでいるスクールカウンセラーの配置。
まだまだすべての学校にとは言えませんが、スクールカウンセラーの相談を受けることができる学校が増えています。
子どもだけでなく保護者も相談に乗ってもらうことができます。
心理士さんが多いので、発達検査を受けた結果を読み取って助言をもらうこともできると思います。
また、先生ではないので、第三者としてお子さんの対応についての要望を学校に伝えてもらうこともできます。

教育相談を受けてみよう

様々な公的機関が「教育相談」というなまえで保護者の相談受付をしています。
「教育センター」
「総合教育センター」
「特別支援教育センター」
「教育研修センター」
などのなまえがついた都道府県の施設、市区町村、各地域の教育委員会などで広く相談を受けつけています。
これらの相談は直接施設を訪問して相談できるほか、電話相談も可能です。地方都市への巡回相談が行われている地域もあります。学校や所属園、市区町村にポスターやパンフレットがあり相談の申し込みができる場合もあります。
お子さんの気になる点、子育てについて、様々な助言をしてくれます。

地域の教育委員会では「教育の場」についての相談も受けつけています。
特別な配慮が必要なお子さんが所属する学級はどこが一番良いのか、一緒に考えてくれます。
必要に応じて検査をしてくれることも。
教育の専門機関の相談をぜひ利用してください。

児童発達支援管理責任者にも相談してください

KIKO

私たち児童発達支援管理責任者も相談を受けます

児童発達支援管理責任者は「児童発達支援」「放課後等デイサービス」の事業所に常勤しています。
実務経験の要件を満たして研修を修了した資格者で、事業所に必ず1名以上の配置が定められています。
事業所では障害をもっていたり、生活の中で苦手や困難を抱えている子どもたちの「療育」を行います。
「療育」というのは、障害や苦手、困難さを理解して、それらを軽減させたり様々な対策を身につけて円滑な生活が送れるよう支援、教育、援助していくことです。
児童発達支援管理責任者はサービスを利用するお子さん本人やお父さんお母さんから、お話を伺いお子さんたちそれぞれの支援の方法を考えプランを作成、お子さんをとりまく関係機関と連携、そして実際の療育も行う相談と療育の専門家です。

「児童発達支援」は小学校入学前のお子さんが利用できるサービス
「放課後等デイサービス」は小学校入学から高校生までが利用できるサービスです。

障害の診断を受けていなくても利用可能ですが、利用には「受給者証」が必要です。
「受給者証」は「障害者手帳」「療育手帳」とは別のもので市区町村の福祉関係の課で申請します。

接したことのない方たちにとっては謎に包まれたように感じるかもしれない私たちですが、利用が決まっていない方々の相談にものることができます。
子どもの育ちや発達について、育児の悩みについて、もしかして発達障害なの?と不安な時、私たちに会いに来てください。
家族の支援も私たちのお仕事の一つです。
地域によって、事業所によって違いはあると思いますが、多くの事業所は見学を受け付けています。電話で質問や相談もできますよ。

児童相談所と家庭児童相談室

児童相談所(児相)と家庭児童相談室(家児相)。
一度はきいたことがあると思います。
児童相談所は、文字通り子どもについての相談に乗ってくれる児童福祉の専門機関で、47都道府県すべてに設置されています。
直接訪問してお話を聞いてくれるほか、電話でも相談に乗ってくれます。
家庭児童相談室は、自治体の福祉事務所や保健センターに設置されています。すべての自治体が設置しているわけではありませんが、年々増えているとのことです。
行き慣れた場所にあるのがよいところ。児童相談所よりも相談に行きやすいかもしれませんね。

終わりに

相談にのってくれる人はまだまだたくさんいます。
ママ友、親戚のおばちゃん、ご近所さん、行きつけのお店の店員さん、昔お世話になった先生、地域の民生委員さん…目を閉じて顔が思い浮かんだら思い切って相談してみましょう。
きっと話を聞いてくれるはずです。
専門的な意見が聞きたいときには一歩進んで相談機関を利用することをお勧めします。

人はそれぞれ違う考え、違うものの見方を持っています。
何人かの人、いくつかの機関に意見をきいてみるのもよいでしょう。
でも、それぞれの違うアドバイスをきいてどうしたらよいのかわからなくなってしまうこともあるかもしれません。
絶対はないことを覚えておきましょう。
絶対アドバイスに従わなくてはならない ということはありません。
絶対に正しい ということもありません。
小さな情報や問題解決のヒントをみつけるために、相談をします。

また、あまりにも多くの人に同じ相談をするのもどうしたらよいのかわからなくなってしまうことになります。
信頼できる相手と出会えたら、その相手とじっくりとお話をすすめていくのが一番よいのではないでしょうか。

子育てのコツとして、ぜひ「相談」をしてみてくださいね!